前回の記事では、香港から中国高速鉄道を乗り継いで南寧(なんねい、Nanning)駅に到着したところまでをお伝えしました。今回はその続き、南寧駅を出てから、寝台列車の切符が「売り切れ」だったところから、国際バスでの中国・ベトナム国境越えの一部始終です。

南寧駅、寝台列車は「売り切れ」

中国高速鉄道を使って、列車は定時に南寧駅に到着しました。改札を一旦出てから入り口で荷物検査を受けて、駅構内にある国際列車の切符を販売している窓口に向かいます。

何人か並んでいました。国際列車を取り扱っているのは一番右側の有人カウンターであることは事前に調べていたので、そこに並びました。
中国の人がベトナムに行く際はビザが必要なようで、並んでいる中国人は紙の書類(おそらくビザ関連の書類)を持っている人が多かったです。

やがて自分の番になり、翻訳アプリの画面を見せました。
目的の列車は、南寧発、ベトナム・嘉林(ザーラム、Gia Lam。ハノイ中心部ではなく、市街地北東側にある国際列車のターミナル駅)行きの寝台列車T8701です。

🟠(自分・翻訳アプリの画面)「我想申请一张今天开往越南嘉林的T8701次卧铺列车的成人票」
(今日、ベトナム・ザーラム行きの寝台列車T8701、大人1枚ください)🟢(窓口)「ソールドアウト(英語で)」
売り切れでした。中国国家鉄路集団「12306」の公式サイトによると、このT8701/MR2次(南寧〜嘉林)の運賃は215元(約5,268円)、切符は南寧駅(6:00〜22:30)や桂林北駅(8:00〜18:00)などの窓口で購入できると案内されています。
ここで、今回の旅行で一番懸念していたことが起きてしまいました。計画が狂いましたが、ダメだったときのプランも一応考えていたので、翌日に出発する便も聞いてみました。ただ、翌日も売り切れとのこと。旅行時間が減ってしまうのは避けたかったので、いったん悩みましたが、バスで国境を越えることにしました。
国際バスという選択肢

これも事前に調べていたので、南寧駅から10分ほど歩いたところにバス乗り場があるということで、そちらに向かいました。
たどり着いたのは「旅游集散中心(Tourism Distribution Center)」という場所でした。
そこのカウンターでベトナム・ハノイ行きのことを聞くと、「ここではない、あっちで聞け」というジェスチャーをされましたが、「あっち」がどこなのか全然分かりませんでした。

方向を見るとバスが止まっている駐車場があるだけで、界隈をうろうろしてもバス乗り場らしいものが見つかりません。

航空写真で見るとこれだけ場所が違う。初見ではたどり着けない。

もう一度聞いてみると、今度はもう少し詳しく指さしてもらえたので、駐車場の先にある待合室のような建物だと分かりました。

中国でGoogleマップは普通の地図と航空写真でこれだけズレていました。建物探しの参考に両方記載しておきます
営業しているのかどうかもよく分からない雰囲気でしたが、扉に鍵はかかっていなかったので入ってみると、私服で働いているスタッフがいました。
WeChatミニプログラムでの悪戦苦闘
翻訳アプリを使って、一番早い便が欲しいと伝えました。

必要な中国語:越南(ゆえなん)=ベトナム、河内(はーねぃ)=ハノイ
🟠(自分・翻訳アプリの画面)「我想买最早一张去越南河内的巴士票」
(ベトナム・ハノイ行きのバスの一番早いチケットが欲しいです)
すると、どうやら「运德出行(雲徳出行、Yunde Chuxing)」というWeChatのミニプログラムを登録することで、バスのチケットが買えることが分かりました。
運営は広西運德集団(グループ)のようです。「一番早い便」を希望したことが、結果的に翌朝06:10発(市中心からの送迎付き)という選択につながりました。

やり方が分からないので、スタッフに翻訳アプリを見せながら、ハノイ行きのバスの購入を進めていきました。

ところが、最後の決済の場面で中国の電話番号が必要とのことで、日本の電話番号ではエラーになってしまいました。
困っていると、スタッフが「自分の番号で購入して、その代金をWeChat PayやAlipayで送金してほしい」と提案してくれたので、無事に決済ができました。チケットは、購入してくれたスタッフの携帯に表示されたQRコードがそのままチケットになるようで、それを写真に撮って完了です。

値段は188元(約4,606円、1元≒24.5円換算)。
乗り場は「南寧友愛路6号 運德定制客運服務点(市中心)」、翌朝06:10発の便です。
中国電話番号付きsim
事前に購入しておくか、いざとなったらesimをダウンロードして、予約できるようにしましょう!
運賃と便の一覧


中国のバスは国境まで乗車、国境からベトナムのバスに乗ります。
ミニプログラムで確認できた便をまとめておきます。
| 出発時刻 | 乗り場 | 運賃(元) | 円換算 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 06:10 | 南寧友愛路6号 運德定制客運服務点(市中心) | 188元 | 約4,606円 | 実際に購入した便 |
| 07:00 | 南宁埌东汽车站(Nanning Langdong Bus Station) | 178元 | 約4,361円 |
補足すると、188元のチケットは「南寧埌東汽車站を7:00に出発する便」そのものに、市中心(友愛路6号)からの送迎(6:10発)が付いたものでした。埌東汽車站はこの便にとって最初の経由地(1つ目の停車地)にあたり、実際にも6:40に到着して7:00に出発しています。
市中心の送迎なしで埌東汽車站から直接乗る場合は178元〜と、10元ほど安くなるようでした。

このミニプログラムでは、南寧・友誼関(ゆうぎかん、Huu Nghi Quan/Friendship Pass)と、ベトナムの北江・北寧・河内を結ぶ便が1日に何本も出ているようで、後日別の場所で見かけた時刻表には、友誼関〜越南河内間だけで1日8便以上が案内されていました。国境の先まで乗り換えなしで行けるルートが、想像していたより充実している印象でした。
なお、後で受け取ったタグ(首から下げる乗客カード)にも同じ路線の説明があり、「友誼関〜埌東汽車站間の便は”対開モード”で循環運行し、30分おきに1便発車、または満席になり次第出発する。車両は大小を切り替えながら、必要に応じて乗降サービスを行う」といった趣旨の案内が書かれていました。これが、時間帯によって微妙に発車時刻がずれていた理由のようです。
出発前夜〜当日の朝
その夜はホテルへ

今日はやることがなくなったので、事前に考えていた駅前のホテルをTrip.comで予約し、そのままホテルに向かいました。ホテルでの過ごし方はまた別にまとめようと思います。
出発当日の朝

翌朝、バスに乗る当日になりました。まだ日の出前。

昨日売り場を教えてもらったとはいえ、かなり不安だったので早めに向かいました。ホテルからバス乗り場までは歩いて20分ほどでしたが、バス出発の30分前にはチケットを購入した待合室の建物に到着しました。


このあと、一番右の車に乗るとわからず、撮影。
ところが、待合室の鍵は開いているものの電気はついておらず、バスが動く気配もありません。


とても不安になりましたが、なかなか来ないので朝ご飯用に肉まんを近くのコンビニで買って待つことにしました。これが、買っておいて正解でした。この後、なかなか休憩するタイミングがなかったからです。
コンビニは道路を挟んで反対側にあります。
待っても待っても行きのバスが来ないので、そのあたりをうろうろして待ちます。バス出発の6時10分になると、ラフな格好のおじさんがバイクに乗ってこちらに向かってきました。
バスのことを聞いてみると、「はいはい」という感じの返事をしながら、バス乗り場の待合室に向かいます。そこでそのおじさんはバスの鍵を取り、こちらに戻ってきました。

「ハノイ行きのバスはどれですか」と翻訳した文章を見せると、どうやらそのおじさんが運転手のようでした。バスといっても8〜9人乗りの乗合バンのようなもので、ドアを開けて「乗りなさい」というジェスチャーをされました。運転手のスマホの端末には自分の名前が表示されていて、この人が本当に運転してくれる人だと確認できて、まずは一安心でした。
このバス乗り場から乗るのは自分一人だったようで、すぐに出発しました。「安全帯」と中国語で言われましたが、ジェスチャーでシートベルトのことだとなんとなく理解できました。

次の停車駅まで15分のようです。
南寧埌東汽車站で乗り継ぎ

この乗合バンは南寧駅近くの大きなバスターミナルに向かい、そこでもう少し乗客を集めてから改めて出発する、ということがこの時点でようやく理解できました。
6時40分には、この便にとって最初の経由地である南宁埌东汽车站に到着しました。運転手から翻訳アプリを使って「ここで7時まで待つことができます」と言われたので、次は7時出発までここで待つのだと理解しました。

バスターミナルには行き先ごとの電光掲示板があったので、改めてここから乗車することを確認できました。ゲートはA2です。トイレもあったので、そこで時間をつぶしました。

時間になるとバスが来たので、それだと思ったら違いました。電光掲示板にはナンバープレートも表示されていたので、よく見比べると、ここまで乗ってきたバンとは同じ車両でした。運転手は先ほどまで乗っていた人と同じでした。
同じバンに乗り込むと、今度は1人ずつに水が配られました。7時になると出発です。
南寧から国境へ
南寧から国境まで、約2時間半

中国の地図アプリ「高徳地図(AMap)」で国境までの道を調べると、約2時間27分・212kmで到着することが分かりました。

どこかで一度休憩をするのかと思っていましたが、特にそれもなく、一気に国境まで走っていきます。途中、高速道路に乗りました。高速道路が終わって国境に近くなると、検問のようなところがありました。
そこではお客全員のパスポートチェックがありました。外国人は自分だけだったからか、パスポートを持って窓口で少し時間をかけながら確認しているようでした。
その後、中国語で何か質問をされたので分からないとアピールしたところ「Can you speak Chinese?」と聞かれたので「No」と答えると、それ以上のやり取りはありませんでした。
特に何を確認したかったのかは分かりませんが、おそらくビザの有無を確認していたのだと思います、たぶん。
国境の検問所

この便にとって2つ目の停車地となる、国境の検問所に着きました。時刻は9時45分(中国時間)です。

到着するとバスを降り、乗ってきた一行の集団と分かるようなタグを配られたので、首からかけます。タグには「跨境専線車 南寧⇌越南(NANNING⇌VIETNAM)」と大きく書かれ、南寧側の乗り場(火車站・埌東汽車站・火車東站・呉圩空港)とベトナム側の行き先(北江・北寧・河内)、緊急連絡先などが印刷されていました。

ここまで乗ってきてバンを降りると、オレンジ色のカートが見えました。
一旦建物内に入ります。
その間にトイレと売店があったので用は足せますが、いつ出発するのかがよく分からず、雰囲気でどうにかするしかないというのが少し不安でした。

SIMカードと両替を扱うおばちゃんも来て、中国人の乗客は何人もそこでSIMカードの購入や両替をしていました。

そこからオレンジ色のゴルフカートのような電動車に乗って、出国審査の場所へ向かいます。


事前に調べていたヤツが出現。

とある広場に着くと、そこで降ろされます。どちらに進むのかよく分からないまま、他の中国人と同じ方向に進みました。

お城のような検問の建物の隙間を抜けていくと、荷物検査をする場所がありました。

荷物検査を受けると「中国出入境边防检查(中国出入国管理)」のゲートがあったので、出国の手続きのため「出境厅(Departure Hall)」という表示のほうへ進んでいきます。

👆が中国の出入国を行う建物です。
中国出国・ベトナム入国
中国出国審査

中に入ると、顔認証による自動レーンと、有人窓口による出国手続きの列がありました。中国人とベトナム人が並んでいるようで、なかなかにぎやかな環境でした。
自分の番になってパスポートを提示すると、中国語で何か話しかけられたので「English please」と言うと、すごく嫌な顔をされながらも、その後は何も聞かれずに手続きが終わりました。中国の職員は英語をあまり話さないようですが、一般の人は翻訳機を使って会話してくれるので特に困りませんでした。ただ、このような携帯電話を使ってはいけなさそうな場所では、多少困る場面もあります。

床には「特别通道(Manual lane/Lối ưu tiên đặc biệt)」「人工查验(Manual/Kiểm tra thủ công)」という中国語・英語・ベトナム語の3か国語表示がありました。
日本語訳しても意味が分からず。皆、適当に並んでいる雰囲気したので、並びます。

中国の出国スタンプをパスポートに押してもらって、出国手続きした建物を出ると、エスカレータを降りて進んでいきます。

ベトナム側へ歩いていきます。

ここが国境?それらしい境界はわからないまま通過してしまいました。

途中、免税店がありましたが、そこには立ち寄らず、案内通りに進んでいくと、ベトナム側の出入国の建物が見えてきました。

👆がベトナムの出入国を行う建物です。
徒歩でベトナムへ、そして入国審査

ベトナム側の建物に入ると、4つほどカウンターがあり、入国の手続きが行われていました。パスポートを提示すると、特に質問されることもなく、ベトナムの入国スタンプが押されて完了しました。

このバスツアーを案内してくれる、オレンジ色の服を着た女性がその先で待っていて、「他の人が来るまでここで待っていて」というジェスチャーをされたので、しばらく待ちました。この時点で10時40分です。

10分ほど待っていると、ベトナム側のゴルフカートのような乗り物でバス乗り場まで移動します。中国側は電気自動車のような静かなゴルフカートでしたが、ベトナム側はエンジン音のするマニュアル車で、同じような乗り物でもずいぶん雰囲気が違うものだと感じました。

バス乗り場がある建物に着くと、ここにもお土産物屋や飲食店がありましたが、タイミングがよく分からなかったのでそのままついていきます。

ハノイ行きのバスに案内されましたが、これに乗っていいのかよく分からなかったので、一緒に来ていた中国人の乗客と「これかな」というアイコンタクトをしながら乗り込みました。

この時、時計は11時ちょうどになっていました。ただ、よく考えるとベトナムは中国と1時間の時差があるので、ベトナム時間ではまだ10時でした。1時間得するのは、何とも気分がいいものです。
ハノイへ
ハノイ行きのバスへ

しばらく待機していると、乗車名簿のようなものが前の座席から順に回ってきて、名前などを記入していきました。バスが実際に動き出したのはベトナム時間で10時30分でした。

ベトナムは特に道が悪いわけでもなく、途中から高速道路のような道をどんどんハノイに向かって進んでいきます。国境からハノイ駅までは、地図アプリで見ると約3時間・169km、有料道路区間ありのルートでした。

ベトナム側のバスがなかなか出発しないので、Googleマップで位置情報を見ると、やはり、位置情報がずれている。

ハノイの降車場所がわからない。
WeChatを触っていると、ハノイから南寧へのバスの予約を進んでいくと、ハノイのバス乗車場所がわかると思い、検索すると、住所が乗っていました。何となく推測しておきます。
ハノイ到着

川を渡ると、いよいよハノイに到着するというところに差し掛かってきました。


事前に調べて、街なかにあるマツダの店舗の目の前で降ろされるということは分かっていましたが、そこを一度通過したと思ったら道を折り返して、まさにその建物の目の前に到着しました。
正式な降車先住所は「Số 55 Trần Khắt Chân, Phường Bạch Đằng, Quận Hai Bà Trưng, Hà Nội」(チャン・カット・チャン通り55号、バックダン区、ハイバーチュン区、ハノイ)とのことでした。

そこで全員が降りました。日差しが強かったので、みんな日陰に寄っていきます。到着はベトナム時間の13時15分でした。
この日の乗り継ぎ時刻表(実績)
南寧を出てからハノイに着くまで、実際の時刻をまとめると次のようになります。中国とベトナムには1時間の時差があるので、国境を越えたあとの時刻は要注意です(詳しくは本文中の「1時間得する」のくだりをご参照ください)。
| 時刻 | 出来事 | 場所 |
|---|---|---|
| 06:10 | 出発(乗合バン) | 南寧友愛路6号 運德定制客運服務点(市中心) |
| 06:40 | 到着(1つ目の停車地) | 南寧埌東汽車站 |
| 07:00 | 出発(本便に乗り換え) | 南寧埌東汽車站 |
| 09:45 | 到着(2つ目の停車地) | 国境検問所 |
| 10:40 | ベトナム入国スタンプ完了 | 国境(ベトナム側) |
| 11:00(中国時間) =ベトナム時間10:00 | ハノイ行きバスに乗車 | 国境(ベトナム側) |
| 10:30 | バス出発 | 国境(ベトナム側) |
| 13:15 | 到着 | ハノイ(Trần Khắt Chân通り55号) |
南寧発06:10から数えると、実に7時間ほどの道のりでした。
寝台列車が売り切れるというハプニングから始まった一日でしたが、結果的にWeChatミニプログラムでの国際バス、乗合バンでの乗り継ぎ、そして中国・ベトナム双方の出入国審査と、なかなか経験できない陸路国境越えを味わうことになりました。もし同じルートを検討している方がいたら、寝台列車が取れなかったときの代替手段として、この国際バスも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。







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